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2010.04.24 (Sat)

天文対話

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“この本を読まずして、理系を自称するなかれ”

第一回目は有名なガリレオ・ガリレイの天文対話です。この本の紹介抜きにこのシリーズはスタートできません。

内容はご存知、天動説と地動説の議論。
この本が元で、ガリレオは宗教裁判で有罪になりました。

 なぜ宗教裁判にかけられたか、について、“地動説を発表したから”と誤解している人が多いですが、それは大きな間違いです。この“天文対話”が発刊されたのは1632年。コペルニクスが地動説を公式に発表したのが1542年。百年近くも前なのです。そして、ケプラーが“ケプラーの法則”を発表したのが1609年。この法則によれば、地動説が完全に説明づいてしまうのです。

 ガリレオは教会から注意を受けても無視し、裁判で有罪を受けても無視してこの本を出したので、とうとう終身刑になってしまうのです。つまりは、“教会への反逆”がメインの罪なのです。


 彼がここまでこだわった理由は何か?ケプラーの法則により、いずれ天文学者は完全に地動説を支持することでしょう。敢えて教会に反逆してまでこの本を刊行したのは何故か?
・・・そこまでを予備知識として知っていないとこの本の本当の価値が見えてこないのです。

 “天文対話”は一般人を対象に書かれた本です。これが、コペルニクスやケプラーとは異なる点です。この本は読者に、“自らの頭で納得できないものを妄信してはいけない”という事を教えているのです。

私は、“天文対話”は、一般人が自分で考える能力を身につけるために書かれた本であると思うのです。


そろそろ、内容について。
上下巻700ページの大作です。まどろっこしい表現が読むスピードを遅くします。気合を入れなければ読み切ることは出来ないでしょう。


 この本の特徴は、タイトルにもあるように、対話形式で行われるということです。(より正確な訳には、“プトレマイオスとコペルニクスとの二大世界体系についての対話”です)
 天動説支持派のシムプリチオ君と、地動説支持派のサルヴィアチ君、そして中立派のサグレド君の三人が登場します。といっても、著者であるガリレオ君が地動説支持派なので、端っから出来レースな訳で、中立のサグレド君は最終的に地動説を支持し、シムプリチオ君はフルボッコにされます
 ただ、そのフルボッコまでのプロセスが重要なのです。自分が理解できる・納得できるものをひとつずつ積み上げていくのです。当然、サルヴィアチ君の言うこともシムプリチオ君の言うこともも、どちらも理解できない場合があります。そこは、“どちらも支持しない”、というスタンスで読むべきです。
 実際、地動説のサルヴィアチ君はたくさんの間違いを犯しています。例えば、惑星の軌道半径と公転速度について、“計算の結果に驚くほど近い”と言いながら、その計算過程も計算結果も記載しない。こんなものは納得できません。そして、案の定間違っています。(これは、ケプラーが何年も前に楕円軌道でちゃんとした計算をしていたにもかかわらず、ガリレオが惑星の公転は真円を描くと信じ込んでいたためにその内容を(妄信的に)否定したためだと私は思います。)

 この本を読むことで、自分の納得できるものだけを信じるという習慣がつくと思います。この習慣が無い人間は理系を自称してはいけません。


・・・教科書に書いていたから。は納得する理由にはならないのである!





 また、この本は資料としての価値も高いです。彼の時代の世界観がどうであったか。はっきり言ってビックリです。例を挙げると、

・運動は円運動、直線運動、そして円運動と直線運動との混合運動に分類される。
・このうち、円運動と直線運動のみが単純運動であるが、円運動のみが完全である。
 なぜなら終わりも無ければ終わりも無いから。(だから円運動をする天体は完全であり、不変である。神の住処だからだ!)

・・・おいおい。
と、現代の私たちは突っ込むのですが、当時はそれが当たり前の世界観だったのでしょう。(当然、著者が否定派なので、わざと馬鹿馬鹿しく書いていることを考慮する必要があります。)



本のデータを紹介

青木靖三氏の訳によるものが岩波書店から出ています。上下巻あります。
ソフトカバーで、縦書き。ところどころ挿絵があります。数式はほとんど出てきません。

現在絶版になっており、プレミア価格がついています。(定価700円くらいが1,500円くらい)
古い本しか手に入らない場合も多く、保存状態は期待できません。(下巻の状態が良いものなど・・・おお、こわいこわいw)
普通の図書館なら置いているはずなので、入手が困難ということはありません。もし置いていない図書館があったら館長を怒鳴り倒していいレベルです。

 そもそも、なぜこの本が絶版なのか。岩波書店はCSRを果たせ!と言いたい。(増版しないのは売れないからであって、売れないのはみんなが読まないからであって、みんなが読まないのはみんなが必要だと思わないからであって・・・。私は必要だから読め!って言いたいのですよ。)
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テーマ : 理系本 ジャンル : 本・雑誌

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